先日、靴の相談会に来てくださった男性のお客様のお話です。
お持ちになったのは、ショートブーツ、つま先閉じのサンダル、ローファーです。
3足すべて、メンズのマルジェラ
どんなお悩みなのかあれこれお話を伺いました。
特に悩んでいるのが、ブーツ。今回はこのお話です。
このブーツは、きちんと店舗で相談しながら購入したのだが、自分の足のサイズには合っていない気がする。
ズバリ、あっているのかサイズ判定をしてほしい。
との事。
足を入れてもらうと
全体の見た目のシルエットは悪くない。
ご本人が気にされているのは、足長。
かかとはピタリ。まったくの猶予がないほど。
(かかとが合うというより、かかとが少しきつめな感じもした)
そして右のつま先がギリ、いやアウトか。つま先がさわっていた。
足首から上のシルエットはとてもきれい。上は程よくフィットしている。
見た感じのフィット感はこんな感じでした。
気の毒とは思ったものの、噓をつくわけにもいかないので
私の考えとしては「靴のサイズは小さいと思います」とお答えしました。
ご本人としては「やはりかーーー」という反応で、気持ちがすっきりされたご様子。
というのも、このブーツはちゃんとしたお店で買った靴。
サイズはだいぶ迷って、店員さんに相談しながら購入したそうなんです。
店員さん曰く「サイズを大きめにすると、足首あたりのシルエットが崩れる」というようなお話があったらしい。
それは合っていると思う。私もそう思う。
問題は、そのきれいなシルエットで足部分が快適に履けているかという事。
今回はそれがうまくいっていなかった。
もっと細かい話をすると。。。
今回のお客様の場合、足の後ろ側は短め・指が長め・甲が薄め・という特徴の足型。
このような足型の方が靴を履いてみると、小さいサイズの靴でも入ってしまうという難点があります。
この場合、つま先やかかと等、どこか痛むくらいの違和感があれば買わないのですが、そうでもないと買ってしまうという事が意外と多いのです。
以下に例を挙げます。
例:
①24.5cmの靴→ぴったり、つま先触るような気がするけど痛くない
②25.0cmの靴→ かかとが脱げてしまう、つま先は触らない
こんな事が結構あります。
どちらも注視する箇所がたくさんありますが、あるあるとして解説します。
①の注意点
かかとが動かない(ヨシ)
歩いた時にかかとが食い込むように痛む(ダメ)
つま先がやや触れているが、歩くとつま先は触らない(ヨシ)
つま先が完全に靴に触れている・上から前から触れている(ダメ)
②の注意点
歩いた時にかかとが動く(ダメ)
かかとが付いていて、つま先は触れない(ヨシ)
歩いた時に足が前に動いている(ダメ)
歩いた時につま先が触れる(ダメ)
こんな感じでしょうか。
ここまでは、足長の話です。
靴の場合、足長のほかにも注意して見る点があります。
それは甲の抑え具合です。
ひも靴の場合は、甲の抑え具合をひもで調整できるのでとても足に合わせやすいのです。
しかし、ひも靴ではない場合、そうもいかない。
既製品なので形は変えられないので、ちょうどいい具合の靴を探さないといけません。
今回のお客様の場合は、靴の足長が小さく甲の抑えは程よい感じでした。
この場合には履いてるご本人は結構気持ちが良いのですよね。
足の甲が靴の甲より薄めの人は、いつも甲の抑えが良くないと感じることが多いのです。
でも、甲がピタッと抑えられているとフィット感が気持ち良いのですよね。
ここで、ものすごく迷ってしまうのです。
今のサイズだと、甲が気持ちよく収まっている。
かかとが動かない。
つま先は触れている。
一つ大きくすると、甲の抑えが弱い。
かかとが動く。
つま先は触らない。
どちらがいいのだろうか、うむむ~~~。となります。
今回は、フィッティング確認をしてほしいというご相談だったので【このブーツは足より小さいと思う】という判定をしました。
購入前であれば、ほかのデザインの靴と比較する方が良いと思います。
同じブランド・同じサイズでも、靴によって形が違います。
「◎◎というブランドは履けない」と、一言では片づけられないくらいに形は様々あります。
今回のお客様で、とても分かりやすかった点があります。
足の後足部と前足部の関係です。
このブーツに限ってですが、後足部はぎりぎり。100%OKとは言えずきつめですがフィットしてました。
合っていなかったのは、前足部の長さだったと思います。
図にするとこんな感じです。
今回のお客様は、甲が低い・足ゆびが長いという特徴があったので、つま先だけ合っていなかったのだと思います。
一般的な靴選びでは、ここの判断はとても迷いますし、店員さんも難しいケースだと思います。
最終的には購入する人が決めることになります。
靴の購入というのは【いい販売員を見つけることが大事だ】とよく言われます。
ただし、それも限りがあると思うのです。
良い販売員さんと巡り合ったとしても、その店に好きなデザインが無ければ買わないでしょうし。
その販売員さんが退職するかもしれないし。内勤に異動するかもしれないし。
良い販売員さんと一緒に探せるうちはいいのですが、在庫切れだったりうまくいかない日もあります。
そもそも、良い販売員さんはゴリ押ししないのです。そのうち慣れますよ、なんて安易に言いません。
慣れるかどうかなんてわからないのですから。
良い店員さんは「気になる点があるなら、この靴は止めた方がいいですよ」って言います。
そして他の靴をまた見立ててくれますが、うーん、うちの店には合うものが無さそうです…なんてこともあります。
これは、良い販売員さんだからです。合わないかもしれないって思いながら売ることはできないんです、責任感がありますから。
こうなってしまうと、ほかの店で探すか。。。とほほ。。。
などなど…こんなことを考えていると、やはり最終的には【靴探しは自分で】という事になります。
自分なりの靴探しに自信がつけば、通販での靴購入もラクラクです。自分で判断できるわけですから。
今回のお客様にも、今後の靴選びの注意点をしっかり話をしました。(したつもり)
いろいろと腑に落ちたとおっしゃっていたので、今後は靴選びの視点が変わってくるかな??と思います。
後日、ご感想もいただけました。
対面で靴や足の状態を確認しながら、じっくり時間をかけてお話しできる場というのは他ではなかなかないのでとても有意義な時間でした。
靴や足について普段から悩んでいたことについて、納得いくまでお話しや質問ができ、的確なアドバイスをいただけました。
お店で靴選びをするだけではわからないような気づきもたくさんあり、今後の靴選びにも活かせそうです。ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。いろいろな事情があり、事例があります。私も毎回毎回、考えること・学びがいっぱいです。
今回のお客様を含め、みなさんが良い靴に巡り合えますように!!!
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イベントのおしらせ
2024年9月23日(祝日)靴磨きの日という事で、靴磨きイベントを行います。
今回、実演をお願いしましたのは
このお2人をお招きして、みんなで一緒に靴磨きというイベントを企画しました!
要予約となっております(8月1日より予約受付開始)
こちらから→https://forms.office.com/r/aN1qihZHQA
今回は鏡面磨き縛りということにしました。
鏡面磨きに慣れている方も、初心者の方も大丈夫です!
興味があれば、ぜひご参加をお待ちしております!!
(せっかくなのでみんなで磨くつもりですが、見学だけという方もOKです)
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